作品十句
2022.3
低温 中嶋憲武
- 三月の手の甲はたらかなくなり
- カフェオレを手に苗札を鑑みる
- 春泥が灯を跳ね返し理髪の灯
- 草餅を摂らねば痩せる日の温み
- 連翹を食み零しつつ不乱なり
- バグパイプの低音つづく沈丁花
- 熱の出てうららの水の壁の影
- 鑢つかふ冴返る卓響きけり
- 春の服大きボタンの縁円か
- 春の雷柔らかくなる夜の丘
低音 中嶋憲武
- 三月の手の甲はたらかなくなり
- カフェオレを手に苗札を鑑みる
- 春泥が灯を跳ね返し理髪の灯
- 草餅を摂らねば痩せる日の温み
- 連翹を食み零しつつ不乱なり
- バグパイプの低音つづく沈丁花
- 熱の出てうららの水の壁の影
- 鑢つかふ冴返る卓響きけり
- 春の服大きボタンの縁円か
- 春の雷柔らかくなる夜の丘
追ひつかぬ山岸由佳
- 卵買ふゆふぐれ蝶に追ひつかぬ
- 鶯の橋を渡らば雲の国
- 氷消ゆひとりあそびの手のきれい
- 覚めぎはのひかり白梅のひかりとも
- 凍て緩む鳥の足跡踊るなり
- あたたかし木の根に溜まる水たまり
- 逃げてもいい春の落葉にしづむ靴
- 雪柳に雪つもる日や客ひとり
- ふくらはぎさする囀りの途中
- レフ板のひかりとほくに凧
追ひつかぬ 山岸由佳
- 卵買ふゆふぐれ蝶に追ひつかぬ
- 鶯の橋を渡らば雲の国
- 氷消ゆひとりあそびの手のきれい
- 覚めぎはのひかり白梅のひかりとも
- 凍て緩む鳥の足跡踊るなり
- あたたかし木の根に溜まる水たまり
- 逃げてもいい春の落葉にしづむ靴
- 雪柳に雪つもる日や客ひとり
- ふくらはぎさする囀りの途中
- レフ板のひかりとほくに凧
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