作品十句
2021.07
白紙 中嶋憲武
- 早熟の犬の目潰れ炎昼へ
- マスクメロン剥くくりかへす夜の濤
- ゆふぐれの蟻のぞめきて蒼き雲
- 床に靴音粘る炎昼の事務
- 水切る礫峰雲の我が儘に
- ナイフ拭く煌き白南風の街は怒り
- ひらく新聞の折あと音立て夏の風邪
- 裏手の日ざかり脚登りくる萱鼠
- 白紙に戻す西日の部屋の除光液
- 鷲座そろそろ平屋にねむる父起こす
白紙 中嶋憲武
- 早熟の犬の目潰れ炎昼へ
- マスクメロン剥くくりかへす夜の濤
- ゆふぐれの蟻のぞめきて蒼き雲
- 床に靴音粘る炎昼の事務
- 水切る礫峰雲の我が儘に
- ナイフ拭く煌き白南風の街は怒り
- ひらく新聞の折あと音立て夏の風邪
- 裏手の日ざかり脚登りくる萱鼠
- 白紙に戻す西日の部屋の除光液
- 鷲座そろそろ平屋にねむる父起こす
土曜日山岸由佳
- 枇杷の種とほくへ抛り雨宿り
- 珈琲の冷めて夏うぐひすの雲
- 青柿を蹴つて呟く朝はじまる
- 土曜日の百合の斑点わたくしに
- 陽の色の蚯蚓を跨ぎ別れけり
- 蜥蜴の掌小さし朝のラッパ鳴る
- スカートの裾をこぼれてゆく暑さ
- 欲しきもの書くサイダーに濡れし紙
- 鳳梨に舌尖らせて月に雲
- 三年後のくちなしの香をはじめから
土曜日 山岸由佳
- 枇杷の種とほくへ抛り雨宿り
- 珈琲の冷めて夏うぐひすの雲
- 青柿を蹴つて呟く朝はじまる
- 土曜日の百合の斑点わたくしに
- 陽の色の蚯蚓を跨ぎ別れけり
- 蜥蜴の掌小さし朝のラッパ鳴る
- スカートの裾をこぼれてゆく暑さ
- 欲しきもの書くサイダーに濡れし紙
- 鳳梨に舌尖らせて月に雲
- 三年後のくちなしの香をはじめから
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