作品十句

2021.04

仕舞ふ手 中嶋憲武

  • 裏のあかるい草餅よく読む本
  • 春雷に仕舞ふ手これからの寿司
  • 躑躅・くちびる白金を風過ぎゆく
  • うすごほり馬の夜景の産み疲れ
  • ひめますの水の地方の御簾ことば
  • 低い少年その達筆の緋の躑躅
  • 春の厨は雲を食みつつ吐くことば
  • 影があるいて花すももと舎人隣る
  • 春月を舐めし牡馬なら其処に
  • 花屑のうごかぬところまで愛を

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仕舞ふ手    中嶋憲武

  • 裏のあかるい草餅よく読む本
  • 春雷に仕舞ふ手これからの寿司
  • 躑躅・くちびる白金を風過ぎゆく
  • うすごほり馬の夜景の産み疲れ
  • ひめますの水の地方の御簾ことば
  • 低い少年その達筆の緋の躑躅
  • 春の厨は雲を食みつつ吐くことば
  • 影があるいて花すももと舎人隣る
  • 春月を舐めし牡馬なら其処に
  • 花屑のうごかぬところまで愛を

朗読山岸由佳

  • 白木蓮のほころびにゐる赤ん坊
  • 囀りの浴槽からつぽにしておく
  • 春水の揺れゐし奥の歯にちから
  • 花時の影の大きくなり食ぶる
  • 蝶は地にこゑの掠れてゐる日向
  • さくらさくら顔の映らぬ水のうへ
  • 怒る鳥たんぽぽの茎ながながと
  • 花屑のひとひら沈み浮くひかり
  • シーツ肌に触れ葉桜の残像
  • 朗読のはじまりの息花は葉に

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朗読    山岸由佳

  • 白木蓮のほころびにゐる赤ん坊
  • 囀りの浴槽からつぽにしておく
  • 春水の揺れゐし奥の歯にちから
  • 花時の影の大きくなり食ぶる
  • 蝶は地にこゑの掠れてゐる日向
  • さくらさくら顔の映らぬ水のうへ
  • 怒る鳥たんぽぽの茎ながながと
  • 花屑のひとひら沈み浮くひかり
  • シーツ肌に触れ葉桜の残像
  • 朗読のはじまりの息花は葉に

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